メモリアルツリー

・現場作業をしていますと、近所にお住いの山が好きな方が作業を見に来られる事があります。今回主伐・再造林した山でもよく見に来られて差入など頂き、とても良くして下さる方がいらっしゃいます。昨年は米寿のお祝いで金沢へ家族で温泉に行かれた話などされ、現在はとてもゆったりとお暮しの様ですが、昔の話を聞きますと高度成長期以降の日本しか知らない私には想像もできないほど大変な生活が垣間見えます。(昭和18年の冬、雪の降り積もる寒い日の朝、お母さまが病気でお亡くなりになり、その日の夜にお父さまは満州へ出兵され、幼い弟・妹の世話を全てその方がされた事など)現在の家に嫁がれた後、山をたくさん持っていらっしゃったようで、大変な思いをして植林や保育をなさったそうです。今回、第1期主伐再造林が終わった段階で、その方が植林された山がハッキリとその姿を現し、歩いて簡単に行けるようになったので、その方はよくその山まで歩いて行って昔植林した木に抱き着いて、ひとしきり涙を流されたそうです。今となってはその木だけがその方の今までの苦労を全て知っているから、と言う事でした。そのような話を聞きますと、全て切ってしまう事になんとなく気が引けまして、記念に1本だけ残しました。喜びも悲しみも幾年月。いろんな人のかなわぬ思いを散らしながら、季節は行きます。